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▼「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニン
トリプトファンは、体内に取り込まれ、脳に運ばれると神経伝達物質セロトニンの原料となります。
セロトニンは人間の精神面に大きな影響を与える神経伝達物質で、「レアルアドレナリン」「ドーパミン」と並び体内で特に重要な役割を果たす“三大神経物質”の一つです。セロトニンが分泌されると脳の働きが活性化し、ストレスに対しての抵抗力が向上すると言われ、逆にセロトニンが不足すると精神のバランスが崩れ、暴力的になったり、うつ病などの症状が発症する原因にもなるとも言われています。
また、セロトニンは日光を浴びることで分泌されるので、通勤や散歩など日常の中で、30分程度は太陽光を浴びるように心がけましょう。その他にも、歩行運動、食事の際の租借、意識的な呼吸といった、一定のリズム運動をする事によって、セロトニン神経を刺激するとセロトニンを増やすには効果的と言われています。
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▼「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニン
トリプトファンが脳内でセロトニンの原料となり、分泌されたセロトニンは脳の松果体から分泌される睡眠ホルモン、メラトニンの原料となります。メラトニンは季節のリズム、睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌のリズムなどを調整する作用があると言われています。
メラトニンは朝、太陽光を浴びると脳からの信号により分泌が止まります。そして目覚めてから14~16時間ほど経過すると体内時計からの信号により再び松果体から分泌され始め、就寝1~2時間前に上昇じ副交感神経を優位にして呼吸や脈拍を安定させ、深部体温を下げて、身体を休息に適した状態に導きます。
このメラトニンを分泌させるには、材料になるセロトニンを朝から昼にかけて十分に分泌させる事が必要です。そしてそのセロトニンを作り出す材料として、トリプトファンが必要となります。
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▼セロトニンの原料となるトリプトファンとビタミンB6
セロトニンの合成にはトリプトファンだけではなく、合成を促進させるビタミンB6や、ナイアシン、マグネシウム、合成に必要なエネルギー源となる炭水化物が必要です。
トリプトファンは肉、魚、卵、乳製品などに含まれ、ビタミンB6はまぐろ、ぶり、レバー、ブロッコリー、ニンニクなどに含まれています。炭水化物は、みなさんご存知のごはん、パン、麺類などです。
また、肉や魚にもトリプトファンが多く含まれますが、動物性たんぱく質に含まれるBCAAというアミノ酸はトリプトファンと「脳への入り口」が同じ為、脳へ取り込みにくくなります。ただし、動物性たんぱく質も炭水化物、とビタミンB6を一緒に摂ることで、血糖が上昇してBCAAが筋肉に作用する為、脳内でのトリプトファンの合成が促進されると言われています。